三匹の蟹 (講談社文芸文庫)
大庭 みな子 講談社 講談社
最近書かれた作品を言われても違和感がないくらい現代的
表題作「三匹の蟹」は、アメリカ(多分)で生活する日本人の家族。主人公は、主婦の由梨。閉塞感というよりは、だらしなさが濃くて、気持ち悪くなるくらい。特に夫婦のやりとりが。 最近書かれた作品を言われても違和感がないくらい現代的で、昭和40年代前半に書かれたと思えないくらいです。
むかし女がいた (新潮文庫)
大庭 みな子 新潮社 新潮社
女としてのアイデンティティ
「三匹の蟹」(群像新人賞、芥川賞受賞作、1968年)は、わたしの中では強烈な印象がある。
あの時代、倉橋由美子とマルグリッド・デュラスに夢中になっていたわたしは、大庭みな子の作品を読んで、
なんてわがままな女なんだろうと、これは見事だと感嘆し、<人間とは女である>とためらいもなく言い切る、この三人の作家にひれ伏す気持ちだった。
何十年も経った今、ふと手にした「むかし女がいた」を読み、わたしがキライな(笑)瀬戸内寂聴さんの解説を読んで、思いが深い。
生意気な十代からおとなのとばくちに差しかかった時代に、この三人の作家から強い意志を受け取ったにもかかわらず、私は<人間=女である>生き方ができずに、
自分の女の部分は曖昧にしてきたから、いまではすべすべしたロボット犬のように人畜無害だけれど、つまらない生きものになってしまった。
わたしがキライだった寂聴尼さんは、出家後に人として女として大きく成長した。
出家しても女は女であって、だからこそ人間なのである。
「女」というアイデンティティをしっかり掲げて生きることが、その女(ひと)の人格を高めることに繋がる。
それがようやく分かったわたしは、老女のとばくちに差しかかっているんだから笑ってしまいます。
女性だったら、ぜひお読みになってください。
あまり若いと理解しにくいかもしれませんが、三十代半ば過ぎればこの本の適齢期。
小説とも詩ともつかない、伊勢物語風な、寓話的な二十四編です。
終わりの蜜月―大庭みな子の介護日誌
大庭 利雄 新潮社 新潮社
介護の難しさと夫婦愛と・・・
「介護」は、介護する者への愛情がないとできないと言われているが、
まさにその通りだと思う。相手が何を望んでいるのかきめ細かく思い
やることができるのは、相手を愛しているからに他ならない。利雄の
みな子への献身的な介護。読んでいると、夫として妻をどれほど愛して
いるのかが痛いほど分かる。だが、老齢の身で介護をしなければなら
ないのはとても大変でつらいことだと思う。今後、介護制度がもっと
もっと充実してくれることを願うばかりだ。
夫婦のあり方が問われる介護生活
何年か前、作家の大庭みな子氏が、突然、脳梗塞で倒れて車椅子生活になったということを知り、大変驚いたのを覚えている。本書は彼女を介護をする夫の利雄氏が書いた日記で、病に倒れてからの妻の様子、夫との関わり、夫婦のあり方などが淡々と記されている。
みな子氏は、1996年に倒れ、以来半身不随になってしまう。妻は夫がいなければ立つことも歩くこともできず、「みな子は利雄にすがって生きている」。介護する者とされる者との関係は、母と子のような密着した関係であり、このような状況を利雄氏は、「再びめぐってきた第二のハネムーン(蜜月)」だという。幸いなことに、彼にはどんなに辛いことでも楽しみに変えてしまう才能があるのだ。
二人には出会ってから50年の歴史がある。結婚後、夫の赴任先のアラスカで10年暮らし、その間に妻は作品を発表して作家となる。理数系の夫と感性にすぐれた妻。向かう世界はまったく違う二人が、常にお互いを大切に思いながら生きてきたということが、この介護日誌から伝わってくる。
利雄氏は長年日記をつけるのが習慣となっている。日常のこまごまとした世話の合間に、彼女が倒れた直後の記憶がなかったときの日記や、遠い昔の若き日の日記を読んで聞かせている。それによって彼女はもう一度利雄氏との生活を生き直しているのだ。
夫婦のどちらか、特に妻の介護が必要となったとき、夫婦の生活は一変するだろう。そのとき、その状況を「第二のハネムーン」ととらえることができるだろうか。おそらく、それまでの夫婦関係、夫婦としての来し方が問われるのだろう。わが身をかえりみて、私たちは大庭夫妻のような老夫婦になれるだろうかと考えさせられる。
枕草子 (少年少女古典文学館)
大庭 みな子 講談社 講談社
風紋
大庭 みな子 新潮社 新潮社
芥川賞全集 第8巻 (8)
大庭 みな子 文藝春秋 文藝春秋
新潮 2007年 08月号 [雑誌]
新潮社 新潮社
王女の涙 (新潮文庫)
大庭 みな子 新潮社 新潮社
匂い立つ小説。
〈王女の涙〉という名の花は、夜になると濃密な香りを放つ。その香りに魅せられるかのように、夫を亡くしたばかりの桂子は東京のとある屋敷の一棟を借りる。その屋敷の持ち主である笛子は、父を誘惑し、母を殺した女への復讐心に取り憑かれている。彼女の母親は、庭にある桂の木で首を吊ったのだと言う。あの世とこの世の境のような場で起こる、数奇な出来事。幾つになっても消えることのない人の性、忘れられることのない記憶。どこからか糸を引く過去から誰も逃れることなど出来ない、その台詞が心に残った。
続 女の男性論 (中公文庫)
大庭 みな子 中央公論社 中央公論社
曽野綾子 津村節子 (女性作家シリーズ)
曽野 綾子 角川書店 角川書店
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