親と離れて「ひと」となる 親と離れて「ひと」となる
足立 倫行   日本放送出版協会   日本放送出版協会  
若者自立支援施設のことはよくわかるが・・・・
この本の長所
複数の若者自立支援施設の取材を通して、自立支援施設の多様性(通いのところもある)、苦労話などが生き生きと描かれているところ。
この本の短所
著者の問題意識は少し鈍い。(1)「ひと」となるには、本当に親から離れるべきなのか(一般論としてはそうだろうが、それは産業社会以来のわりと新しい現象ではないか)。(2)なぜ学校や職業訓練をしないのかが明らかではない(つまり、左記の選択肢がなぜ有効になっていないのかについての問題意識がない)。(3)自立支援施設の内容がこれで良いのかについての批判的検討がない(資源ごみの回収や競艇場での屋台もいいが、もっと後の職業につながる訓練内容にならないものか)。
結論―長所星4つ、短所星2つ、全体として星3つ。

横浜中華街 (とんぼの本)
佐藤 和孝   新潮社   新潮社  

海洋ニッポン―未知の領域に挑む人びと 海洋ニッポン―未知の領域に挑む人びと
足立 倫行   岩波書店   岩波書店  

北里大学病院24時―生命を支える人びと
足立 倫行   新潮社   新潮社  
医療従事者を目指している人に是非
北里病院の、6つの病棟、栄養部、薬剤部、施設課、臨床検査部、病歴センター、腎センター、(病院長)を作者が実際に訪れて実態をレポートし、感想を交えたもの。
看護師になりたくて読んだ一冊でしたが、病院内の普段見えないところが見れて面白かったです。患者としては、医師や看護師しか会わないので、病院は見えない部分が多いんだなぁと勉強になりました。医療従事者になりたいと思っている方にオススメです。
総合病院は待ち時間が多くていつもイライラさせられていましたが、陰でみんな一生懸命なうえでの待ち時間なんだと思うと、少し我慢しようかなと感じました。

人、夢に暮らす (新潮文庫)
足立 倫行   新潮社   新潮社  

アダルトな人びと
足立 倫行   講談社   講談社  
初めて書名を見たとき・・・
初めて書名を見たとき、立派な紳士として「大人」びた方々に関するルポルタージュか何かかと思ったが、文字通りいわゆるAV業界に棲息する方々の列伝であったことに吃驚した記憶がある。しかし、中味は村西とおるや代々木忠、安達かおる、樹まり子、豊丸をはじめとしてAV創成期の「猛者」たちを真面目に採り上げて真摯に描いた好著である。後世、AVの歴史を語る際の基礎文献の一として必ず参照されるであろう一書となるのではないか。

妖怪と歩く―ドキュメント・水木しげる (文春文庫) 妖怪と歩く―ドキュメント・水木しげる (文春文庫)
足立 倫行   文藝春秋   文藝春秋  
意外な素顔
 1994年に出た単行本の文庫化。
 著者はノンフィクション作家。長期間の綿密な調査をもとにした重厚な作品で知られる。そのわりには、あまり面白くないものが多いのだが、本書はなかなかの出来。ちなみに著者は水木と同じ境港出身。
 水木しげるに3年間にわたって取材を続け、そのひととなりを描き出した力作。伝記ではない。水木の作品世界を分析しようとするものでもない。
 徹底して描かれるのは、水木の特異性である。他人への関心、性、戦争の記憶。そういったもののなかに、水木の面白さ、成功の原因を見出していく。
 水木ファンというわけではないから、崇めたてまつり、ほめるだけではない。また、朝期の取材を通して培った信頼関係からか、暗い記憶、汚い部分にも踏み込んでいる。
 いい仕事だと思う。
水木しげるという謎(文庫版レビュー)
本書は文藝春秋から「人間発掘」シリーズの一冊として1994年に刊行された書き下ろし
単行本の文庫版です。

文献研究(作品、自伝、マンガ史、妖怪研究からゲーテまで)、関係者の証言、同行取材
から構成されています。とくに関係者が語る水木像と、作者の目からみた水木先生にかん
する記述は貴重です。

「目が怖い」「意味のない高笑い」「奇矯な言動」「矛盾の併存」「したたかさ」「世話
好き」「自己中心」「自信過剰」「偏った好奇心」「自己抑制」「好色老人」「ハス
ラー」「稚気」「美人好き」「ノンポリ老人」「用心深い」「同業者をメッタ切り」「正
直」「生活力」「希薄な人間関係」「傍若無人」「厳しい人」「驚異的な適応力」「独
善・独断」「人間への無関心」「風景画家」「生の賛歌」等々

以上は本書で断片的にあきらかにされる水木しげる像なのですが、そこから何らかの統一
したイメージを形成することはできません。水木先生という存在じたいが謎に包まれてい
るのです。筆者も約一年間の取材をふりかえり、その正体を把握できたとは正直思えな
かったとのべています。

「戦争体験があったから世間に対して失望なんかはないですよ」(『水木しげる集』)

本書の読了後、私はこの一文に出会い考えたのですが、先生の根幹には(死線をのりこえ
た果ての)生そのものの肯定があるように思います。(本書にも「食欲と性欲と睡眠欲と
排泄欲に基づいた根源的な生命肯定」という一文があります)。そのあたりが、「人より
も風景のほうが面白い」と言いきる、先生の破格な人間力の源泉になっているような気が
いたします。

残念なのは筆者の懐疑主義的で冷ややかな態度が目にあまることです。とはいえ、先生ご
本人の実像に迫りたいと思う、多くの水木ファンにとって本書は第一級の資料といってよ
いと思います。なお文庫版では水木しげるロードの拡充について補足されていますが、内
容は単行本と変わっていません。


妖怪と歩く―評伝・水木しげる (書下しノンフィクション人間発掘)
足立 倫行   文藝春秋   文藝春秋  

イカの魂―海から食卓までの「イカ読本」 (1985年) (Century press)
足立 倫行   情報センター出版局   情報センター出版局  

日本海のイカ―海からだけ見えるニンゲン社会の動悸 (1985年)
足立 倫行   情報センター出版局   情報センター出版局  

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