鎖された海峡
逢坂 剛 講談社 講談社
今ひとつ
イベリアシリーズ第5弾。今回どちらかといえば北都は脇役で、むしろヴァジニアの方が
主役といった感じ。ノルマンディー上陸作戦を巡っての激しい謀略戦…を期待していた
のだが、実際に読んでみると、イギリス情報局内の事情説明にページが割かれ過ぎている
感じがして、スペインやドイツでのエピソードが付け足しのような印象を受けた。
何しろ上陸作戦が行われているのは遥か遠方のフランスだし、スペインやイギリスにいる
主人公たちと絡めて書くのはかなり無理があるような気がする(これは前作についてもい
える事なんだけど)。そこで主人公たちを近くに放り込もうとするのだが、これがまた妙
に作為めいていて違和感を感じた。
主人公たちも皆お馴染みのメンバーで、行動に意外性が無いし、新しく登場してくる人物も
そんなに重要な役割を持っていない。
つまり、全体的にバランスが悪いのだ。
このため、活躍して欲しい人物がストーリーに埋没してしまっているような感じがする。
ラスト近くで物語が動くが、ページが足らず既に遅し。バタバタと重要人物が急に出て
きては慌しく退場していってしまう…そして後味の悪いラスト…個人的に逢坂さんの作品が
大好きなだけに残念。次作では多分ヴァルキューレ作戦辺りを扱うと思うので期待したい。
おれたちの街
逢坂 剛 集英社 集英社
待望のシリーズ4巻
待ってました!な御茶ノ水署シリーズ4巻。
警察小説だけど殺人の起こらない、肩の凝らないユーモアミステリー。
今回は新キャラ立花も加わり、斉木・梢田・五本松との絡みも上手くて始終笑いが絶えない展開に楽しい一時を過ごせました。
単品読みでも充分楽しめますが、シリーズ1から読むともっと楽しいですョ!
(シリーズ1〜3は文庫にもなっています)
百舌の叫ぶ夜 (集英社文庫)
逢坂 剛 集英社 集英社
バカヤロウなぐらいハードボイルドな奴ら
Wikipediaによると、ハードボイルド(hardboiled)とは、感傷や恐怖などの感情に流されない、冷酷非情な、(精神的・肉体的に)強靭な、妥協しない、などの人間の性格を表す言葉となる。文芸用語としては、反道徳的・暴力的な内容を、批判を加えず、客観的で簡潔な描写で記述する手法・文体をいい、アーネスト・ヘミングウェイの作風などを指す。また、ミステリの分野のうち、従来の思索型の探偵に対して、行動的でハードボイルドな性格の探偵を登場させ、そういった探偵役の行動を描くことを主眼とした作風を表す用語として定着した。
この書はハードボイルドでいいのだろう。というより出てくる奴、出てくる奴皆ばかやろうなぐらいハードボイルドだ。
主人公は言うまでもない。百舌も然り、大杉も然り、明星も、都城もそうだろう。クールだ。
その個性が、著者の緻密なシナリオの中で自在に動き回る。著者の本を読むのはこれが始めてである。シナリオがしっかりしており、かつ、どんでん返しの連続、読むもののちょっこっと先を常に行く。あまり突飛だとついていけないのだが著者はそのさじ加減を知悉しているのだろう。そのためストーリーに委ねられながら、驚き、気付きが続く。
読んだ後自分が何かハードボイルドになった気がする。何か物事をクールで見ているような。それが優れたハードボイルドだと思う。
やめられませんでした。
すごい!ハードボイルドとはこの事!筆者のあとがきも良かったです。そんなに時間かかったなら、もう一度読んでみようかと思います。最初からぐんぐん話しにのめりこんでしまいますよ!
すごい…
逢坂さんの作品は初めて読みましたが、とても面白かったです。
登場人物のキャラクターも個性的でしたし、ストーリーは現実的では
ないかも知れませんが、最後まで一気に読んでしまう魅力があります。
しかし、とにかく驚いたのは、本文が小さい章に分けられていて、
それは公安側と百舌側の視点が入れ替わるということ以外の効果を
もたらしていて読むと混乱をするのですが、最後までたどり着くと、
『うおーーーそういうことだったのかーーーー!!!』
と、感嘆させられます。一読した後に、その法則に則って読み直すと、
ストーリー自体はこんなにあっさりしたものだったのかと思うくらい
です。それくらい、その効果は絶大でした。
巧みに構成された、てんこ盛りな話。
殺し屋、爆弾テロ、記憶喪失、公安、極右団体、・・・のキョウダイ、復讐、と、詰めこみすぎとも思える要素が、抜群の構成力で、ビシッと1000ピースパズルのように決まってます。
完成した絵が見えた時の満足度は、折り紙つき。ラストで、「冒頭のあれはこれだったのか!」とうなってください。
展開も次々と話が転がり飽きさせないので、一気に読めます。止められなくなるので、寝しなには読まないほうが。
ただ、ある意味荒唐無稽なので、現実的な警察小説などが好きな方はしらける部分もあるかもしれません。
騙りの名作
「百舌」は殺し屋の名前。冒頭で「百舌」の兄が能登半島で殺されるシーンが描かれる。一方、東京で殺し屋「百舌」が係わる事件が描かれる。
しかし、読み進めて行くうちに「百舌」に関する描写に対する違和感が読者を襲う。東京の事件よりも、「百舌」の兄の虐殺に係わる真相と「百舌」自身の正体が興味の焦点となる。明かされる真相は、「シャーロック・ホームズの生還」を思わせる苦しい場面もあるが、語りのテクニックが充分活かされ、読者に心地良い驚きを与えてくれる。
日本ミステリの「騙しの名作」と言うと必ず挙げられる程の騙りの名作。
禿鷹狩り―禿鷹〈4〉 (禿鷹 (4))
逢坂 剛 文藝春秋 文藝春秋
これは面白い
前作,前々作が今ひとつだった禿鷹シリーズだが,最終作である
今作で鮮やかにキメてくれた。
冒頭シーンの意味が何であるのか,最後まで読んだ後,思わず
読み返してしまう筋立ては逢坂さんの最も得意とするところ。
ラストを「ある人物」のモノローグで終わらせるところも見事
だと思った。話中で大きな役割を演じるごつい体格の女刑事の
キャラクターの立っているのも良い。強烈なインパクト。
さすが逢坂さん
いつもながら面白い作品だった。
ところどころ騙され騙され、気持ちよく最後まで読めた。
が、女性刑事の行動や言動には多少イライラ。
こんな刑事、本当にいるのだろうか・・・ いるのだろうな・・・という思い。
まだまだ続きを読みたかっただけにLASTはショック。
あっさりとシリーズを終わらせるあたりさすがだな、と思った。
禿鷹最強の敵
冒頭何者かが、殺し屋に禿鷹狩りを依頼。
何者かが、誰なのか。殺し屋が誰なのか。
ニ転、三転するストーリーとミスリーディング。
百舌シリーズのころのような切れ味を見せる、逢坂節炸裂。
禿鷹完結編
禿鷹完結編の今回は、いよいよマスダとの全面対決。内容も二転三転するし、神宮署内部の暗闘もあって興味深い内容だった。過去の3作品より楽しく読めたし、アクションシーンもそれなりにあった。個人的には禿鷹は好きではないが、こんな小説があってもいいと思う。
配達される女 (集英社文庫)
逢坂 剛 集英社 集英社
個性ゆたかな刑事たち
この作家の本は、『百舌の叫ぶ夜』とか『さまよえる脳髄』といった長編は読んだことがありましたが、本書のような短編集は初めてです。
生活安全課に勤務して、始終掛け合い漫才のような無駄口を繰り返す冴えない中年二人と、そこに異動してきたちょっと謎めいた女刑事の周りに起こるちょっとした事件が、各編ごとに軽いサスペンスとして完結したシリーズです。しかし、実のところ読者の興味は、個々の事件よりもこの3人の関係が今後どのように展開していくのかということに引き付けられるでしょう。その意味では、これまでに呼んできた本格サスペンス長編とは全く違ったテイストで、うれしい驚きでした。続編が読んでみたいものです。
軽いハードボイルドのどこが悪い♪
腐れ縁としかいいようのない、御茶ノ水署・生活安全課保安二係の斉木斉と梢田威。仲が良いのか、足を引っ張り合っているのかが、「しのびよる月」に続く、この2冊目でも今ひとつ掴めません。
そして、彼らの管轄(タダ食いする縄張り?)で大学生活を過ごした人間には見逃せない場所の数々♪ でも、聞いたことがない店名もちらほら。作者のフィクション? 私が知らないだけ? 久しぶりにアノ辺りに出没したくなります。
そして、今回は新たに"期待の星"五本松小百合も加わり、事件の解決がスピードアップしたのは確かそうですが、更に無謀さがバージョンアップしたような気も...そこがまた痛快です!
逢坂剛さんというと男性のファンが多そうですが、この五本松の登場で女性ファンも増えるかも!?
幻の翼 (集英社文庫)
逢坂 剛 集英社 集英社
第一作と併せて一冊の本となる
通常、こういうシリーズものというのは、登場人物が一緒でも事件というのは別なものである。そのため、冒頭、いきなり第一作にあたる「百舌の叫ぶ夜」で起こった事件の新聞記事から始まったのには面食らった。
その後別の事件が起こると思いきや、第一作の事件をそのまま膨らましている内容が続く。それでも読者を飽きさせることがない。第一作であれだけ敵討ち、そう、軒並み殺してしまっているのにである。
第一作のレビューでも書いたが、ストーリーが本当にしっかりしており、安心して読み進めることができる。また、どんでん返しの連続で都度サプライズがある。またそれが変に常軌を逸しておらず、想定のちょっこっと外なので、それはないだろ、やり過ぎでは、といった感想を持つこともない。稀代のストーリーテラーである。
解説でも少し述べられていたが、これは第一作と別な本ではなく、二作併せて一作で良い程バランスが取れている内容である。
早く第三作を読むこととしよう。
『百舌の叫ぶ夜』の後日談
『百舌の叫ぶ夜』の続編。
死んだと思われていた新谷の兄が生きていた……?という話で、
ひとことで言えば後日談、言い換えれば長いエピローグとも言える。
今回の“敵”は院長が替わった稜徳会病院。
シリーズキャラクターの一人と思っていた倉木があんなことになるなど、
意外性もリーダビリティも依然として抜群なのだが、
読み終わってみると“幻の翼”というタイトルの意味が分かる仕掛けになっている。
それが幻だからというか、何かスカされたような感じを抱かせる、
何か損をしているような作品。
評判が良かったからつい書いてしまった、という続編ではあるまいか?
とはいえ、それがこれだけ面白くなるんだから、逢坂剛恐るべし、ではある。
前作同様、迫真のサスペンスを堪能できる作品
「百舌シリーズ」の第二弾。
警察組織を根底から揺るがすはずの、稜徳会病院で起きた大量殺人事件は、政治的な配慮により闇に葬られようとしていた。裏に潜む政治的謀略を暴くため、公安部倉木警視は危険な賭に出る。一方、能登の海に消えた新谷和彦は、北朝鮮に渡り、テロリスト「百舌」として再び日本へ戻り、関係者への復讐を開始する。
このシリーズのなかで純粋に前作のストーリーをついだ、まさに続編である。前作同様、迫真のサスペンスを堪能できる作品である。
「百舌シリーズ」は、本書の他、「百舌の叫ぶ夜」「幻の翼」「砕かれた鍵」「よみがえる百舌」「のすりの巣」
「続 百舌の叫ぶ夜」という題名が適切な、サスペンス
「百舌の叫ぶ夜」「幻の翼」「砕かれた鍵」「よみがえる百舌」「のすりの巣」と5作に及ぶ「百舌シリーズ」の第二弾。
警察組織を根底から揺るがすはずの、稜徳会病院で起きた大量殺人事件は、政治的な配慮により闇に葬られようとしていた。裏に潜む政治的謀略を暴くため、公安部倉木警視は危険な賭に出る。一方、能登の海に消えた新谷和彦は、北朝鮮に渡り、テロリスト「百舌」として再び日本へ戻り、関係者への復讐を開始する。
このシリーズのなかで純粋に前作のストーリーをついだ、まさに続編である。前作同様、迫真のサスペンスを堪能できる作品である。
「続 百舌の叫ぶ夜」という題名が適切な、サスペンス
「百舌の叫ぶ夜」「幻の翼」「砕かれた鍵」「よみがえる百舌」「のすりの巣」と5作に及ぶ「百舌シリーズ」の第二弾。
警察組織を根底から揺るがすはずの、稜徳会病院で起きた大量殺人事件は、政治的な配慮により闇に葬られようとしていた。裏に潜む政治的謀略を暴くため、公安部倉木警視は危険な賭に出る。一方、能登の海に消えた新谷和彦は、北朝鮮に渡り、テロリスト「百舌」として再び日本へ戻り、関係者への復讐を開始する。
このシリーズのなかで純粋に前作のストーリーをついだ、まさに続編である。前作同様、迫真のサスペンスを堪能できる作品である。
道連れ彦輔
逢坂 剛 文藝春秋 文藝春秋
伴天連の呪い―道連れ彦輔〈2〉
逢坂 剛 文藝春秋 文藝春秋
墓石の伝説 (講談社文庫)
逢坂 剛 講談社 講談社
イベリアの雷鳴 (講談社文庫)
逢坂 剛 講談社 講談社
僕は満足でしました。
大東亜戦争でヨーロッパの日本軍の行動について書かれている小説を小生の拙さから余り知りません。この作品で史実を知ろうと思いました。大東亜戦争となると連合国、枢軸国と分けられた上に連合国は5カ国、枢軸国は3カ国と簡単に学校は教えますが実際は枢軸国だけでも、欧州7カ国、亜細亜9カ国の16カ国在りました。その事実を踏まえた上で再度勉強するきっかけをくれたシリーズとなりました。
ボリュームも忘れる面白さ
スペインを舞台に、主人公の日本人スパイが、ドイツ、イギリス、反フランコ派などの、いろいろな陰謀に巻き込まれていく様子を描きます。
何かの事件を追う!とか、何か大きな陰謀が一つあって、それを追っていく、いう展開ではなく、いろいろなグループが、いろいなことを企み、それが続いて行く、という感じです。
話の構成もあり、この後何が起こるんだ?という興味で、話に引き込まれて、時間とボリュームを忘れる面白さでした。また、戦争の影を感じる街、いろいろな思惑をもった怪しい人々(スパイ、ジャーナリスト、革命家)、そこに生きる一般の人々など、戦争中の中立国の「魔都」ぶりが、見事に描かれてます。
第二次世界大戦中の政治状況も、詳しく書かれていて歴史の勉強にもなりました。
作者のラーフワークとなる、「中立国スペイン」における日・独・英のスパイ戦を描いた作品
作者、得意のスペイン物で、作者のラーフワークとなる、「中立国スペイン」における日・独・英のスパイ戦を描いた作品。本作品はシリーズの第一作に当たり、第二次世界大戦開戦直前のスペインを描いている。
対英戦のため、枢軸側でのスペインの参戦と英領ジブラタルの奪取をもくろむ独、逆にスペインの参戦を阻みたい英、にフランコの暗殺を画策する反フランコ組織の思惑が交錯する。「遠ざかる祖国」「燃える蜃気楼」と続く本シリーズの主人公は日本のスパイ北都昭平と英のスパイヴァジニア・クレイトンであるが、本作品では、北都に想いを寄せるペネロペの描写が鮮やかである。
現時点で発表されているシリーズ三作品のなかでは、本作品がベストである。しかしながら、本作品を単体としてみると、同じ「スペインもの」としては、初期の「カディスの赤い星」近年の「燃える地の果てに」の方が上だと思う。(もちろんシリーズ全作が発表されれば、評価があがる可能性もあるが・・・。)
本作品は週刊誌に連載された作品のせいか、同じ説明、表現が何度も出てくる。これが作品のテンポを悪くしているとともに、作品を無駄に!!長くしている。この傾向は作者の他の連載→親書の作品にも見られる傾向であり、是非改善してほしいのだが・・・。
本作は、2000年度版このミスで23位にランキングされた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 » [16]
合計件数:151 合計ページ数:16