江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者 (光文社文庫) 江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者 (光文社文庫)
江戸川 乱歩   光文社   光文社  
プロバビリティの犯罪
◆「赤い部屋」

  今宵も異常な興奮を求めて集まった「赤い部屋」の会の面々。

  今晩の語り手である新入会員のT氏が、怪異な物語を語り始めた。
  彼はこれまでに九十九人の人を殺害してきたというのだが……。


  乱歩が谷崎潤一郎の「途上」という短編に触発されて
  命名した「プロバビリティの犯罪」が描かれます。

  「プロバビリティの犯罪」とは、明確な殺意を持ちつつも、直接的な行動を起こすことなく
  人を死に至らしめることで刑罰から我が身をまもろうとする確率を利用した殺人方法です。
  

  作中には、そうしたトリックが数多く盛り込まれているのですが、
  オチに関しては賛否両論かもしれませんw

もしかしたら ここに逆転の発想が・・
代表作!屋根裏部屋の散歩者なんてもしかしたら変態かもしれません。風呂の覗きや痴漢みたいなものかもしれません。よんでいるとスパイダーマンか足八本の蜘蛛にでもなったような気がしますよ。しかしこの発想はいいですよね、タイトルも抜群に良い。
痴漢や変態、好奇心趣味の犯罪思考・・。心の隠れた部分って人間もっていますよ。あ、そうそう乱歩は筆力が抜群!!こんなすごい人いるんだね。
ミステリー界の巨匠の初期短編集
乱歩の作品の中でも特に評判の高い初期短編を集めた巻です。
トリックの見事さもさることながら、濃密な文体もまた魅力的。
ページ数が多く、しかも文庫版で安いのでとてもお買い得だと思います。
『人間椅子』が一番面白かった。
光文社から出ている全集の第1巻。
「全集」だけあってとても多くの作品が収められており、本当に玉石混交といった感じ。
自分のような乱歩の初心者や、面白いとされている作品だけ読みたい人には、この光文社の全集は向いていないかも・・・
ただ、全ての作品に対して、乱歩の「自作解説」がついていて、これがかなり面白い。
例えば自分で「つまらない」と言っている作品もかなりあって、そういう作品は本当につまらない(笑)

基本的には文体も内容も古臭いと感じられるものが多いが、表題作の『屋根裏の散歩者』・『心理試験』・『人間椅子』等の有名な作品は流石に今でも面白い。特に『人間椅子』は素晴らしい。
「変態」(あくまで括弧付)を表現するのが上手い作家だなあと思った。

まさに全集
江戸川乱歩を知るためにはこれは最適だと思う。ただ、作品の後に乱歩自身の「自作解説」なる文があるのだがその中で「これは愚作であった」とか「駄作もいくつかある」などと言っており実際そう言っている作品は今ひとつ。だから色んな意味で全集。


江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫) 江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫)
江戸川 乱歩   新潮社   新潮社  
「芋虫」が好き
 有名どころが揃っていて、入門者にはお勧め。
 個人的には「芋虫」が好きで、手元に置いてある。こんなのは自分だけかと思っていたら、結構同じことを書いていらっしゃる方がいて嬉しい。戦争で両腕、両足を失い、そのことを褒め称えた新聞記事と勲章を心のよすがに生きる男と、その妻の物語。他はトリックの点で古臭くなったり、抜かれたりもするだろうが、もうこういうものを書ける作家は出ないだろう。しつこいが、「芋虫」がお勧めである。
収録作の大半が乱歩の代表的短編
◆「赤い部屋」

  今宵も異常な興奮を求めて集まった「赤い部屋」の会の面々。

  今晩の語り手である新入会員のT氏が、怪異な物語を語り始めた。
  彼はこれまでに九十九人の人を殺害してきたというのだが……。


  乱歩が谷崎潤一郎の「途上」という短編に触発されて
  命名した「プロバビリティの犯罪」が描かれます。

  「プロバビリティの犯罪」とは、明確な殺意を持ちつつも、直接的な行動を起こすことなく
  人を死に至らしめることで刑罰から我が身をまもろうとする確率を利用した殺人方法です。
  

  作中には、そうしたトリックが数多く盛り込まれているのですが、
  オチに関しては賛否両論かもしれませんw

乱歩の大宇宙へどうぞ。
 江戸川乱歩の怪人二十面相と明智小五郎と小林少年率いる『少年探偵団』のお話は、小学校時代に貸本屋から借りてきては読んでいた。こんな魅力ある少年向けの作品はなかった。
 この楽しい話を創る江戸川乱歩。この人物は何者かに気づいたのは乱歩の初期作品に接したことだ。中学一年生。最初の出会いは『屋根裏の散歩者』であった。ぼくは一気に大人になっていった。
想像できない不思議な宇宙を乱歩は描いている。乱歩の作品を夢中になって読み続けた。大人になった。以後は彼の世界に入り込み。
 大人向けに書いた作品と、ぼくの知っている子ども向けの『少年探偵団』シリーズは、差がありすぎた。ぼくは感動し、大人 乱歩の世界に熱中した。
 江戸川乱歩により、ぼくは世界を見る目が変わった。
 奇妙な感性をもった少年になっていった。
 ぼくは春陽堂書店の本から入った。

 この新潮文庫の『傑作選』はすごい。他の社の文庫版もあるが 新潮社版は品位が高い。あらためて新潮社に敬意。乱歩の大きな世界を知るにはこの書は必携。
 できれば、『屋根裏の散歩者』に出会い、『人間椅子』にエロテック、そしてとめどめもない乱歩の宇宙にはいられんことを祈る。

傑作ばかり
 「二銭銅貨」「二廃人」「D坂の殺人事件」「心理試験」「赤い部屋」「屋根裏の散歩者」「人間椅子」「鏡地獄」「芋虫」の9編を収めている。
 1960年に新潮文庫として出たもので、乱歩の傑作選としては決定的なものだろう。有名作品ばかりで、誰が読んでも満足できるのではないか。
 トリックに凝ったミステリ、奇怪な思いつきを小説にしたもの、グロテスクな話と分野的にも取り揃えられ、バランスが良い。
 ただ、あまりにもいいとこどりという感じがしないでもない。
エドガーアランポー
文学史上、日本の本格探偵小説の確立者と呼ばしめる乱歩。探偵小説のみを書く作家と解していたのは僕だけでは無い事を願いますが、そうは問屋が卸さない事でしょう。仮に恐怖小説とでも呼ぶべき物も書かれておられます。
この『江戸川乱歩傑作集』は乱歩入門には最適で、処女作である『二銭銅貨』から『二廃人』『D坂の殺人事件』『心理試験』『赤い部屋』『屋根裏の散歩者』『人間椅子』『鏡地獄』『芋虫』までの初期の短篇のうち、代表的な物を集めております。
頁を捲る毎に犯罪を冒しているような何とも形容し難い錯覚に襲われ、奇怪な興奮が増幅して行くこの感覚が堪りません。珠玉の作品の集まりである事は保証致します。

怪人二十面相 (少年探偵) 怪人二十面相 (少年探偵)
江戸川 乱歩   ポプラ社   ポプラ社  
どきどきはらはらエンターテイメント
推理の妙を効かせるお話かな・・・?と思いきや、そうでもありません。むずかしい理屈は抜きにして、とにかく何度も、「あっ!?」と驚くどんでんがえしが起こります。捕まえた、と思いきや捕まえておらず、ピンチかな、と思いきや今度は優勢に立っていたり・・・とにかく展開がめまぐるしく、また動きがたくさんあるけっこうアクション系のお話かな、と思います。頭脳をはたらかせる推理部分も、舌を巻くようなすばらしい出来ですが、そこだけをくどくどと説明することなく、簡潔にとてもわかりやすく書いているので、子どもにも理解しやすく、親しみやすい作品となっています。
何より、この作品に登場する明智小五郎探偵は今、とっても人気のコナンの漫画で親しまれているし、明智探偵の手下であり、主役的存在の勇敢な小林少年が小学生ということもあって、子どもには魅力的な要素がたくさんつまっているのです。犯罪が起こるからといって、この巻には残虐なシーンや殺人などは起こりませんし。
字は多めですが、注の付け方もわかりやすく、無理なく難しめのことばに慣れるための教材としてもいいかもしれません。楽しみながら読めますので。

と、子供向けにどうかという視点で考えてみましたが(作者は子供向けに書いた)、おとなが読んでももちろんはまります。先が読めそうで、読めない展開を、ぜひ楽しんでみてください。
大人から子供まで楽しめる本です。
この作品は昔に読んだことがある方も多いと思います。怪人二十面相と明智探偵との対決が、数多く広げられるシリーズの第一作目です。
かなり昔の作品ですが、今の子供たちでも大人でも楽しめる内容でした。
 読み始めると時間も忘れて一気に読み終えてしまいました。
すごい!!!
二十面相はすごいとおもった!!!ぜひ読んでほしい物語です!

パノラマ島綺譚―江戸川乱歩全集〈第2巻〉 (光文社文庫) パノラマ島綺譚―江戸川乱歩全集〈第2巻〉 (光文社文庫)
江戸川 乱歩   光文社   光文社  
こ、これは・・・★★★★★
  ★作品★

闇に蠢く・・・最後のほうに行けば行くほど旨味が滲み出てくる。よいですよ!!旨味です。

パノラマ島・・・主人公がなぜか武将のようなたくましさのような錯覚に感じてしまう。なぜか織田信長なんです。信念を貫く所や奇抜さが・・・。ラストもグー。

一寸法師・・・トリックと狂喜・・なんといっても一寸法師がなぜか河童を連想させるんですよね私の場合。この時代にしか描けなかった名作ですね!!
耽美な奇譚
江戸川乱歩が描く
妖しくも耽美な世界で彩られる
異次元の話を思わせる作品。
「パノラマ島」

怪しげな人物が跋扈し、恐怖が巻き起こる
「一寸法師」

等々乱歩が後々まで指向した
幻惑世界が語られています
パノラマ島
 本著はポーのアルン・ハイムの地所にインスパイアを受け
執筆されたことは有名ですが内容は本当に濃いです。
発端は金持ちのボンボンに似てる主人公が
死亡したボンボンに成り済ますことから始まります。
主人公の狂気の世界、歪んだ感覚が本作の世界を構築しており、
幻想的でもあり、ドアーズの名曲クリスタル・シップのようで好きです。
一寸法師がおすすめ
初期の中・長編が5作収録されているが、僕のおすすめは「一寸法師」
後の乱歩作品で幾度も使用されるトリックが随所に登場する。
乱歩自身は不出来の作品としているが、退屈しないで一気に読まされた。

「闇に蠢く」は好き嫌いがあるでしょう。
はっきり言って気持ち悪いです。カニバリズムに関する話です。男の僕でもかなり気持ち悪かった。昨今のホラーよりもはるかに怖い。

「パノラマ島綺譚」は僕は退屈だった。パノラマ島の描写が長々と続いているわりには、ストーリーは単純に思えた。


人間椅子 (江戸川乱歩文庫) 人間椅子 (江戸川乱歩文庫)
江戸川 乱歩   春陽堂書店   春陽堂書店  
人間は椅子になれるか
 「人間椅子」「お勢登場」「毒草」「双生児」「夢遊病者の死」「灰神楽」「木馬は回る」「指環」「幽霊」「人でなしの恋」の10篇が収められている。
 著名な作品が多く、満足できる一冊となっている。
 なかでも「人間椅子」は素晴らしい。結末を知っていても楽しめる。
 それにしても乱歩は奇想の作家だったのだなあと感心する。
無題
ハイテク現代の、なれの果て
不気味なタイトル
人間椅子。タイトルからして不気味だ。
ただ、とにかく読んで欲しい。面白さ保証つき。
ホラー系、ミステリーが好きな方どうぞ。
あっということがあなたを待ってますよ・・・
「人でなしの恋」もお薦め
これは是非小学生の頃読みたかったな!と19になって初めて乱歩を読んで、思った。小学校の図書室にあった無気味な背表紙を思い出しました。

江戸川乱歩短篇集 (岩波文庫) 江戸川乱歩短篇集 (岩波文庫)
岩波書店   岩波書店   千葉 俊二  
ヘンタイのセンパイ
 収録されているのは「二銭銅貨」、「D坂の殺人事件」、「心理試験」、「白昼夢」、「屋根裏の散歩者」、「人間椅子」、「火星の運河」、「お勢登場」、「鏡地獄」、「木馬は廻る」、「押絵と旅する男」、「目羅博士の不思議な犯罪」の12篇。もちろん乱歩にはほかの選集もありますし、文庫版の全集もあるわけですが、この短篇集はなかなかよい選択ではないでしょうか。乱歩をちゃんと読んだことがないけれど読んでみたいという人が、最初に手に取るのに適しているように思います。
 大正から昭和初期にかけての東京を舞台に展開するサディズム、マゾヒズム、フェティシズムに満ちた暗い物語世界が、じゅうぶんに堪能できます。鏡やレンズ、人形への執着ぶりは、やはり特に印象深いですね。既にレビューされているとおり、解説の文章も充実しています。
「フィギュアと旅する男」ってもう現実だよ。
岩波文庫緑帯で読む乱歩。いかにも似合いそうな予感がして、本書を手に取った。

一度ならず読んできた短編であるが、この岩波文庫という器は実にゼロ年代の
乱歩にぴったり合っている感じだ。大変面白く読んだ。千葉俊二氏による書誌的
にも充実した解説(谷崎の研究者として高名な方だそうだ)も、とてもよい。

大震災後の帝都東京という場所と、バブル以降の長い沈滞期にある日本が非常に
近いところで共振している。「暇をもてあまして、人生に心底から退屈しきった
主人公」たち。「どんな遊びも、どんな職業も、何をやってみても、一向この世
が面白くない」という、八方塞がりの倦怠感。これらはまさに現代=ゼロ年代を
表す記号でもある。

もちろん、描写の一つひとつの古めかしさや、乱歩独特の「ですます」文体の
野暮ったさはある。しかし、そういうヴェールを自分の読みでデジタル処理して
見直すと、現れるのは恐ろしく同時代的な物語である。

「ネット裏の散歩者」「フィギュアと旅する男」「携帯地獄」などと、ベタな
翻案をするだけでもその凄さは伝わってくる。

オールドファンにもこの新しい革袋はオススメ。若い小説読者で、乱歩なんて
「二十面相」と「少年探偵団」でしょ、と思っている人にこそ読んで欲しい。
「人間椅子」の奇妙な味にしびれます。


少年探偵団 (少年探偵) 少年探偵団 (少年探偵)
江戸川 乱歩   ポプラ社   ポプラ社  
色あせない名作。
ぜひ現代の子供たちの必読書にしてほしいくらいの名作です。
大人になっても楽しめる、そんなハラハラドキドキする本はなかなかないと思います。
そこそこ読み応えもあり、子供へのプレゼントにもいいのでは?
読書をするくせをつけるにはこれはもってこいの教材だと思います。

妖怪博士 (少年探偵) 妖怪博士 (少年探偵)
江戸川 乱歩   ポプラ社   ポプラ社  
挿絵入りでないと・・・
乱歩の少年探偵団ものは光文社の江戸川乱歩全集がすべてカバー
してくれるけれど、やはり挿絵の入った単行本で読みたいもの。
乱歩はたしかに少年向けにこの物語を書いたのであるが、その
構想は成人向けのものと基本的に同じ。一寸刻み五分試し。
ひひひひひ・・・という怪人の声は少女にも向けて発している。
本シリーズは第一巻の「怪人二十面相」「少年探偵団」を
引き継いだこの3作目で軌道に乗った。

江戸川乱歩全集 第4巻 孤島の鬼 (光文社文庫) 江戸川乱歩全集 第4巻 孤島の鬼 (光文社文庫)
江戸川 乱歩   光文社   光文社  
   大正時代の終わりから昭和前半に一世を風靡したミステリー作家・江戸川乱歩。おどろおどろしく奇怪な筋立て、幻惑的な場面展開、妖しい人物、名探偵・明智小五郎による快刀乱麻の謎解きなど、短編長編のいずれも魅力にあふれいまだ人気衰えることがない。この乱歩の全集30巻が新たに文庫版で刊行され始めた。初回配本『孤島の鬼』には同名作品と『猟奇の果』の2長編が収録されている。

 『孤島の鬼』の主人公「私」は美貌の青年。彼を愛する年上の青年の悲哀と、彼が愛した娘の殺人から物語は始まる。そして「私」が巻き込まれる悲劇とおぞましい体験は、短期間で彼の頭髪を真っ白にさせるほどのものだった。同性愛と異形なる者の陰翳に隈取られつつ、血塗られた殺しがそこに重なった、濃密で粘度の高い<語り物>である。

 『孤島の鬼』と『猟奇の果』は昭和4年から1年に1作のペースで間断なく雑誌連載され、整形外科手術による「人間改造術」をその共通プロットに持つ。しかし完成度において『孤島の鬼』にはっきりと軍配が上がる。『猟奇の果』は途中でストーリーの破綻をきたし、後半で明智小五郎を登場させるが、姑息な急場凌ぎも上手くいかなった。才能豊かな乱歩にしてさえ起こった失敗だが、それをこそおもしろさとして受け止めることもできよう。

   装幀のカバーに使われた勝本みつるのオブジェ・コラージェが妖しさを演出。見返しには初版本の写真もカラー掲載されている。(松平盟子)
切々たる余韻を残す乱歩長編の最高峰
数多くの珠玉の短篇に比べて長編はちょっとー、という江戸川乱歩ですが、こと“孤島の鬼”に至っては俄然弁護したくなります。 奇形児、ホモセクシャル、グロテスクな不可能犯罪、ねじ曲がった人間の復讐心―と、とにかく“ゲテモノ”と見なされかねない要素のオンパレードなのですが、ラストの諸戸道夫の手紙を読んだとき、人間の業というもの深さに“もののあわれ”さえ感じてしまいます。 人間というのはかくも自分というものを他人に受け入れてもらいたいものなのかー。 それまで人間界の常識からおよそかけ離れた地獄絵図ばかりの展開だった物語がここに来て、何か一筋の希望(?)すら与えるような閉じ方をしています。 一応怪奇探偵小説という範疇に含まれている作品ですが、本当はジャンル分けできない唯一無二の幻想譚です。 また(ちょっと書くのが恥ずかしいのですが)洞窟の中で、死を覚悟した諸戸が主人公に肉体を迫る場面の描写は、ホモセクシャルでもなんでもない私でさえ強烈なエロティシズムを感じてクラクラしてしまいました。 ホントにスゴイものって、好き嫌いを超越してしまうのですね。

この作品は一応映画化されています。 石井輝男監督の“江戸川乱歩全集・恐怖奇形人間”がそれで、他の乱歩作品の要素が絡み合って少しゴチャゴチャいる作品なのですが、ベースになっているのは間違いなく“孤島の鬼”です。 なにしろ“奇形人間を作ってしまう”というトンデモ内容が現代では受け入れられず、本国日本ではDVDはおろかビデオ化すらされていない幻の名作。 しかし、アメリカでは昨年DVDが発売され(画質・音質良好)、アマゾンを通して買うことが出来ます。 そちらも違った意味で怪(快)作です。 興味のある方はご覧になってください
僕が人に乱歩を勧めるなら先ずこの作品です。
光文社文庫の江戸川乱歩全集発行を機に乱歩を読み始めたわけですが、最初の方で初期の傑作短編の数々に触れてしまったので、
乱歩の長編はやや物足りなく感じる事が往々にしてあります。もちろん魅力的な長編も多いのですが、
乱歩自身が飽き性なのか、それとも見切り発車なのか、物語序盤の方向性が最後まで一貫して描かれずに、
えらく破綻した小説になる事も珍しくありません。もっとも、それが乱歩長編の魅力の一つでもあり、
実際、気合いを入れてプロットをしっかり作った作品よりも、そう言った破綻小説の方が面白かったりすることもあって、
乱歩にとってはジレンマだったでしょうね。

さて、表題作「孤島の鬼」は、そんな乱歩的な魅力に溢れた乱歩長編の最高傑作と呼べるのではないでしょうか。
乱歩がどこまで計算して構成したのかは知りませんが、
序盤の本格探偵小説に始まり、怪奇、冒険というそれぞれまったく別々の輝きを持った宝石が、
しかるべき人間がその宝石を身につけたかの如く、至極の煌めきを放っているではありませんか。
混沌と秩序との幸福な関係が、この作品では奇跡的に果たせたと言えるのでは? 
同じプロットをもとに作品を書いたとしても、本作に迫る作品を書くことは叶わないでしょう。
おそらく乱歩自身にも。それが、乱歩が乱歩たる所以だと思いますが。

「猟奇の果て」に関しては、特にこれといってないんですが、登場人物の「品川四郎」の風体をイメージする時に、
「品川庄司」の品川さんが浮かんでしまったのは僕だけでしょうか?
蠢く乱歩ワールド
両作品とも乱歩が得意とする「別人格による人間形成」を扱っている。

「孤島の鬼」は傑作。語り手である「私」が巻き込まれた体験により全くの別人と変貌してしまった後のおぞましい物語を濃密にサスペンスフルにそしてミステリーとして書き上げている。

「猟奇の果」はまあ最終的に明智小五郎を出して収拾をつけなければならないような状態の作品ですが。
明と暗
”孤島の鬼”乱歩ワールドの代表的作品の一つ。恐ろしい中にも、ほっこりした、優しさや、愛情に、心洗われる。
 前半のスローな展開から、中、後半えのスピーディな展開は、乱歩ファンには、たまらない。特に後半は、手に汗握るため、命綱を締めて、読んで頂きたい。
”猟奇の果"乱歩、明智 小五郎ファンには、物足りないかも知れないが、

当時の、出版事情を、考慮すれば、いたしかたない事かも。
それでも、江戸川 乱歩氏は、最後まで、乱歩ワールドを創りつずけようとする。ゆっくり、じっくり、読んで欲しい作品である。
孤島の鬼
江戸川乱歩の長編小説の中で、これほど完成されたものは無いと言っていいほど、壮大なスケールと謎、グロテスクな物語だった。何度でも読み直してしまいたい!


芋虫  江戸川乱歩ベストセレクション2 (角川ホラー文庫) 芋虫 江戸川乱歩ベストセレクション2 (角川ホラー文庫)
江戸川 乱歩   角川グループパブリッシング   角川グループパブリッシング  
ゾッとするほど感動
『芋虫』を読み終わった時は、しばらくぼんやりしていました。頭を殴られたような衝撃です。本当によかった。

 こんなに短いのに、こんなに胸をえぐる作品も珍しい。

 面白いと単純に言ってしまうよりは、何かが突き刺さったようなと表現する方が正しい気がする。
 夫と妻の微妙な力関係。優越と憐憫。愛憎入り混じる感情。
 思わず背筋がぞくりとする「情」というかなんというか。

 とにかく、まともな小説じゃない。(もちろん、好い意味で)
 どくどくと脈打つドロドロした人間同士のぶつかり合いを思いきり見せつけられた。
 間違いなく、素晴らしい作品だと思う。

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