猪瀬 直樹 草思社 草思社
はやりの霞ヶ関本
最近はやっている「霞ヶ関本」。しかし、残念ながら、あまり面白い本ではなかった。
結局、この本は、分権委員会での官僚とのやりとりを、議事録をもとにして、重要な部分を取り出して載せたものだと思うけど、会話をそのまま載せているので、面白みにかける。会話の内容も猪瀬氏特有のネチネチした感じだし、しかも、話が官僚と微妙にかみ合っていないときすらある。
取り上げているテーマも、総花的だ。しかも、各テーマとも細かい数字にこだわりすぎで、分権委員会の目的の全体像がいまいちみえない。そのわりに、図や表はまったくないので読みにくい。
また、たまに挿入される、作家気取りの松本清張の話なんかも、なんの効果をねらったのかわからなくて、邪魔なだけだった。
話はそれるが、はっきり言って、自分は、猪瀬直樹のパーソナリティがあまり好きではない。また、他著、「ミカドの肖像」なんかも、何が面白いのか分からなかった。
この本も、残念ながらお勧めできない。
理論と、意志と、ビジョンを武器に
国家公務員33万人のうち、21万人は地方の出先機関にいるのだという。そして、予算と権限をがっちりと握った彼らが明治このかた営々と築き上げてきた「見えない支配システム」とでもいうべきものが日本を覆い尽くしている。
問題はずっと前からはっきりしている。なのに、いつまで経っても変わらないのはなぜなのか。その答えが、この本を読んではじめてわかった。マスコミが垂れ流す通り一遍の役人批判では何も変えられはしないのだ。本当にこの国を変えようと思うのなら、霞が関のエリートたちを凌駕する理論と、意志と、そして何よりビジョンが必要で、そこには日本のメディアに決定的に欠けている当事者意識(または健全な与党精神といってもいい)が必要になる。
この本は、まさにその「当事者意識」にあふれる著者たちの、体を張った戦いの記録だ。今のところは、強大な正規軍に立ち向かうゲリラのような存在なのかもしれないけれども、このゲリラが勝利しないかぎり日本に未来はないのではないか。
全国民必読の一冊
なんといっても、役人との生々しいやりとりがそのまま収録されているのが良い。この著者らしく、データをもとに真正面から官僚を追いつめてくプロセスも面白いのだが、一方で「国交省の出先機関が無傷ですむと思ったら大間違いです!」と国交省の役人に啖呵を切ってみたり、「談合の反省で生まれたコンプライアンス委員会の人が、また談合で逮捕された。どういうことなのか分かるように説明してほしい」と意地悪に迫ってみたり、とにかくいろんな方法で「火の手」を上げているのはお見事としかいいようがない(そうしてくれないと、われわれにはなかなか問題が見えてこない)。日本の将来を論じる本をエンタメのように読むのは不謹慎かもしれないが、著者の毒舌(?)に溜飲を下げつつ楽しく読んだ。
ともかく、官僚の肉声にふれることで、役人というものの生態がダイレクトに伝わる。税金がいかに恣意的かつばかばかしい論理で使われているか(みえないところで使われてきたか)、泣きたくなるような現状が認識できる。が、こうした審議が行われ、プロセスが公開されたことは大きな希望だといえるだろう。
日本国の研究 (文春文庫)
猪瀬 直樹 文藝春秋 文藝春秋
道路公団はソ連軍か?
かつて、小室直樹氏は、ソ連崩壊を予言したその著書『ソビエト帝国の崩壊』の中で「ソ連軍は、巨大な国鉄である。」と書いた。ソ連軍は効率が悪い親方共産党の組織で、その実力は意外に低く、破綻寸前の組織だと言ふ意味である。
小室氏のこの言葉の裏を返せば、日本の国鉄は、ソ連軍の様な物だったと言ふ事である。では、道路公団はどうか?猪木氏は、本書の中で、日本道路公団が国鉄と同様の末路を辿るのではないかと危惧して居る。−−日本は、ソ連と同じ運命を辿らないだろうか?
(西岡昌紀・内科医)
日本国のカルテ
学生時代に長良川河口堰の問題をテーマに論文でも書こうと思い、色々な本を読んだことがありました。それらの本の殆どが治水権と利水権の争いと環境問題についてがテーマでした。当然私もその線でテーマを絞りましたし、私の中では一度国が決めた公共事業はどんな反対運動を受けても中止されることがないことが前提にあり、それに対して何も疑問を抱いていませんでした。最近になり郵政民営化や道路公団の民営化の問題がクローズアップされ身近に感じられるようになったことで、環境問題や都市と地方の格差だけではない、もっと根本的な問題が公共事業や公団運営に巣食っていることが明らかになりました。それらの問題をより身近にすることに成功したのがこの本の著者である猪瀬氏であります。今、郵政問題にメスがいれらるようとしています。当然今後の財政投融資の使途について国民の目は厳しくなると思います。無駄な公共事業を減らし、既得権益や天下りをなくしていくことが日本国の改革につながっていくものと期待します。この本一冊で日本国の現在抱えている病気が分かります。
ルポルタージュとしての現代行政
猪瀬氏独特の語り口調で日本国の行政の実態に迫っている。もちろん裏づけとしての数字も満載されているので、説得性も十分である。この本が発刊されたのが1997年で当時は橋本政権下で、行革基本法が成立した年というのも興味深い。ところが、その中身については、器ができたものの、中身、特にお金の行方やその内訳の規制については、なんと昭和30年代、40年代に決められたままという驚きは読者を打ちのめすことだろう。もっと平たく言うならば、車がめったに通らないところに高速道路を作って、通行料金を徴収する。お役人の天下り先が困らないほど、いや、困らないように、何に役立てるかわからない意味不明の目的のために立てられる施設、さらに、なぜ我々の大切なお金がいとも正当な理由によって吸い上げられるのか。日々のニュースからはうかがい知ることのできない情報が満載である。
冷静に評価すべきだか読む価値あり
会計検査院の合法性からの逸脱が出来ない事については、戦後直後に
行政学の指摘があり、また財政民主主義手続きに乗っ取った予算・執行
・決算の三年周期の原則からすれば、決算審査の「遅さ」への指摘はお
かしい。さらに、なぜそういった特殊法人が残っていったか、という
分析は、第一次臨調以来、行政学や政治学では連綿たる研究が多く発表
されていた。また、資金が余っている、というのは、マクロ的な企業部門
の資金余剰との絡みで指摘しなければならない筈だが、一貫してミクロな
視点のみで叙述されている。このため郵便貯金と財投がストレートで結び
ついたような書き方になっており、事実からすればややおかしい。
こうした点を強く見れば、この当時のアカデミックな水準から見て、
この本の主張にオリジナリティを見るのは、やや過大評価の嫌いがある。
が、ルポタージュとして見ると評価は一変する。特に、研究レベルで
為されなかった特殊法人の出資を伴わない互助会や認可法人の驚くべき
蛸足的実態、「熟眠法人」を巡るブローカーの告白、互助会を経由した
公益性を全く無縁のサラ金貸出等々、今までアンダーグラウンドでしか
語られなかった「暗部」を見事に抉り取った。
この本でのクリティカルな主張は、上は事務次官経験者、族議員から、
下は認可法人の従業員まで、この国の公共部門に属する存在が、上も下
も皆それぞれに腐敗し、その腐敗に一般市民が乗っからざるを得ないと
いう構造を暴いたことそのものであり、これは残念ながら現在でも妥当
する部分を強く持っている。その意味で、この本の指摘は未だ色褪せて
おらず、賛成批判の立場を問わず、現在でも一読に値する書物である。
非常にわかりやすい。目を覚ませ日本人
私がこの本を手に取ったのは2003年である。
発行されてからしばらく時間がたっているが、この本に書かれている問題のほぼすべてが全く解決されておらず、先送りされてきている。本が出版されたときにすぐ読むのもいいだろうが、こうしてしばらく経ったあとに読んでみるのもおもしろいかもしれない。
手に取った理由は、著者の猪瀬直樹氏に興味があったからだ。
あれほど強硬に道路公団を民営化しようとする意見を持つにいたった理由が分かるかもしれないと思ったからだ。そして、単なるパフォーマンスではないことがよく分かった。
日本国はそれほどに病んでいるのだ。驚くべき日本国の実体が赤裸々につづられている。このままでいいわけがない。この本の出版から早6年。そろそろ国民も気づかなければ将来に大きな遺恨を残すことになってしまう。
日本人はなぜ戦争をしたか―昭和16年夏の敗戦 (日本の近代 猪瀬直樹著作集)
猪瀬 直樹 小学館 小学館
戦争を知らない事はよくない
この国は62年前敗戦している。
戦争の本や映画はなぜか美しい音楽と、死にゆく人々のてがみなどは
人は一つはすばらしい詩を書くのように、涙をさそう。
しかし、戦争は美しくない。残酷なものなのだ。現実をここに少しでも書き残して
調べつくしてくださった猪瀬さんに感謝します。
戦争はするべきではない。
ぜひ一読推薦いたします。
本当に「過去を直視」すべきは朝日新聞
現在、国際社会では「日本国は国策として女性を強制連行し性奴隷とした」という話が常識となっている。
そうなった最大の原因は、朝日新聞の「政府・軍による強制連行」の嘘話の大宣伝である。
その朝日新聞は現在、
「官憲による強制連行があったかどうかは枝葉であり、問題の本質から目をそらそうとしている」
と言っている。
人間ここまで汚くなれるのだろうか?
ならば朝日の記者は世界中に飛んで「実は政府・軍による強制連行の証拠は一切無いんだ」と誤解を解くべきだろう。
それが責任のとり方じゃないのか?
朝日の記者にだって少しは良心があるのだろう?
悪質な多事争論
3月5日のTBS・NEWS23の多事争論で筑紫哲也氏は、慰安婦問題での安倍総理の答弁について
「業者にそういうこと(強制連行)をやらせたことに強制性があるという、まあ日本人が聞いてもわからない説明であります」
と述べている。
まず安倍総理はそうは述べていないし、「やらせ」た証拠もない。
通達の1枚たりともない。
「悪質な業者を取り締まれ」という通達ならある。
発言を捏造しておいて、日本人が聞いてもわからないとしている。
汚いとしか言いようがない。
慰安婦問題については、小林よしのり著『平成攘夷論』をぜひ読んでほしい。
もっと多くの人に知らせたい
先日のNHK国会中継で前の防衛庁長官だった石破茂が、この本を掲げて「なぜ『昭和20年夏の敗戦』ではなくて『昭和16年夏の敗戦』なのか」と紹介していたので、おやっと思い読んでみた。
戦争を始める前に「日本必敗」の結論が出されていたことにも驚いたが、その結論を出したのが、官僚や民間人の若いエリートたちだったことが最大の驚きであり、感動だった。
本の中身は、実際の登場人物の声や資料が出てくるので、具体的で非常におもしろい。
著者は、彼らが今日評価されるとしたら「彼らが事態を曇りない眼で見抜き予測した点」であり、「その予測を可能にしたのはタテ割り行政の閉鎖性をとりはらって集められた各種のデータであり彼らの真摯な討議」だという。今の政治にも言えることだろうと思う。
この本の存在をもっと多くの人に知らせたいと思った。
帝国主義の罠
この本では太平洋戦争に突入する半年前に各方面の若手エリートを集めて「総力戦研究所」を造り模擬内閣を組閣し戦力だけでなく経済力や資源、国民精神力等を含めた総力戦において日米のどちらが勝つかの研究内容および結論を猪瀬さんの得意とする緻密な取材力で再現している。そして開戦前に研究所の模擬内閣が出した結論は「日本必敗」であった。本書の柱は研究生であった三十数名の若者の戦争に対する考え方を書いたものであるが、根本は本書の題にもあるようになぜ日本人が戦争を始めたのかである。日本が必ず負けることは政府はもちろん海軍も、そして陸軍の長である東條も分かっていた。それでも日本は戦争しなくてはならない状況に追い込まれていた。戦後、アジア諸国から当時の日本の植民地支配の問題や靖国参拝等が問題視されるが、A級戦犯として処刑され、悪の枢軸とされた東條英機でさえ、総理大臣の立場では戦争回避を図ろうとしていた。極東裁判で判事であったインドのパール判事は「日本は完全無実である」と主張した。彼は日本が戦争を行った原因は、欧米諸国が行っていた帝国主義を有色人種としてはじめて日本が行い、その結果アジアの均衡が破れたこと。それに対し欧米が日本を干渉することによって戦争を招いたと言っている。日本がなぜ戦争をしたのかという議論はもっとなされるべきだと思う。その結論なくして軽々しく一国の首相の靖国参拝問題を「反対」と言うべきではないと思った。
日本の信義―知の巨星十人と語る
猪瀬 直樹 小学館 小学館
流されていた自分を反省
去年、大学でこの作家の講義を聴く機会があったので、手にとってみました。
バブル経済というものを経験していない自分の世代にとっては、この本に登場する江藤淳さんや鶴見俊輔さん、会田雄次さんといった名前や著書は一般教養のときに聞いたくらいで、あまりイメージがありませんでした。
ましてや、猪瀬直樹という作家は、僕らにとっては、道路改革で戦った男としてのイメージが強ったためか、この本はある意味で衝撃でした。今から20年も前の日本経済の混乱期に、今の瞬間にも通じる日本の「原則」を語り合っていたなんて。
この著者の知られざる引き出しとその深さを知ることができましたが、それ以上に、改めて、現代日本に生きる自分自身を省みる、いいきっかけとなりました。
道路の権力 (文春文庫)
猪瀬 直樹 文藝春秋 文藝春秋
猪瀬節炸裂の一書
小泉内閣の目玉の一つであった道路公団改革の一部始終を当事者が書き記した貴重な
一書である。竹中平蔵氏の「構造改革の真実」同様に、小泉改革における官僚/族議員
との攻防がリアルに書かれている。「なるほど、あの時はこんな背景があった
のか...」と思わず頷いてしまう場面がおおかった。小泉改革に興味がある方
は是非読んでみてください。
ちなみに本書は我に正義ありと言わんばかりの猪瀬節炸裂の一書なので、本書だけで
道路公団改革の成功/失敗を論じるべきではないと思います。
(猪瀬氏のパワフルさは大好きなのですが...)
民営化馬鹿に告ぐ、それはお前の道路じゃない
「財務諸表のような何か」を公表した片桐派の本当の目的
つまり債務を切り離して税金で処理して民営化して上場して(゚Д゚)ウマー
そんな公団内部の「改革派」DQNをつぶした
そういう意味でのみ意義があるといえよう
そもそもガソリン税から払うのも一般財源から払うのも
通行料金が物流コストとして商品に上乗せされて消費者が払うのも
結局は国民が広く薄く払う点で一緒なんだよな
それなら利子を押さえ込むためにガソリン税を入れてしまう
不採算路線は新直轄としてガソリン税でつくる
これまでよりあんまり変わんない気がするねえ
NHKスペシャルでやってたように新直轄でどこまで作るかってのは
高速道路会社には決められず国交省が決めてしまう
すると道路会社が新直轄とつながるまで作らざるを得なくなる
つまりJRと違って自分の意志で新線建設の可否は決められない
葛西大日月ネ申が嘲笑していた理由がわかりますな
ていうか民営化できるんなら自分で会社作って自分で高速引く
そんな某先生の言葉が真相を突いていると思う
結局は管理費の値下げってだけの話であり
こいつが日本の道路ネットワークをどうしたいかって聞きたかった
好きだった物書きが耄碌する姿は見ていて寂しい
それか色々書けない話があったのかだな
壮絶なたたかい
道路公団やそのとりまきとの壮絶なたたかいが,なまなましくえがかれている.道路公団にたちむかうにはどれだけの調査,官僚のウソを見抜くちから,説得力・交渉力,等々が必要だったか,それにもかかわらずかぎられた成果しかあげられなかったかがわかる.猪瀬の強引なやりかたは他の民営化委員の反発をまねくこともしばしばだが,それは猪瀬にとってはぜひ必要なことだったということが,この本を読めばわかる.他の委員だけだったら,もっと手前で挫折していただろう.東京都の副知事になった猪瀬にふたたび期待したい.
道路公団改革を考える上で必読の書
本書には、ただの評論家ではなく、自ら改革に挑んだものとしての凄みが感じられる。
しかも作家ならではの文章の旨さ。
評論家にありがちな、自らの価値観に合わないときに一方的に批判して終わり
という無責任さはそこにはない。
All or Nothingで改革の果実を0にしてしまうことなく、妥協点を探る執着心。
見習うべき点は多い。
公団改革に関する評論書は数多いが、本書を読まずして、公団改革を語ることはできない。
民営化が成功なのか失敗なのか、本書を読んでから判断してほしい。
族議員を知るには絶好の本
この本は猪瀬直樹が道路公団の民営化の攻防が綿密に書かれている。
官僚がこの国を駄目にしているのがよくわかり、そして自分の権力
の事しか頭にない議員が多く、自分の天下りを確保するためにの
公団であり、公団お墨付きの会社である。そういう諸々の闇がこの
国の負債を作ったのは明らかである。また官僚たちの嫌がらせ、
民間が入る事のできない壁がある。マスコミも官僚にいいように
踊らされているのがこの本によって明になっている。他のコメント
で、40兆を返すのに50年とあったが、実際は45年であり、
借金返済のため、国民の税で道路を作るなんてナンセンスなのは
改めてよくわかった。
新聞等の評論より、これを是非読んで欲しい。社説は都合のいい
論理しかないが、ここには実学があり、実際にどのように問題を
切り開くかが書いてある。
言うは易し、行い難しとはまさにこの通りだ。
ペルソナ―三島由紀夫伝 (文春文庫)
猪瀬 直樹 文藝春秋 文藝春秋
近代化
1 官僚制、合理化の中で、人間性を輝かそう
としたが、現実に、おしつぶされた、
といった感じです。
2 ただ、文学は残る、ということでしょうか。
三島の作品がもう一度読みたくなる本
三島の美しい文体は、どこから生まれたのか?それを探るヒントがあるのではないかと思う。
作品が生まれた時代の背景や、三島の状況などを想像しながら読むことができるので、読みつくしたはずの三島作品をもういちど読みたくなる一冊。
日本の近代からみる三島由紀夫という存在
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『ペルソナ』はすばらしい
『ペルソナ』ほど画期的な三島由紀夫伝はない。評伝であるだけでなく作品論としても一級で、『仮面の告白』『金閣寺』『鏡子の家』の解釈には蒙を啓かれた。『ペルソナ』以降の三島の作品論は猪瀬直樹の解釈に規定されざるを得ないし、実際そうなっているように思う。
三島評伝なのか
三島由紀夫死後多く人が彼を題材にしたものを出版してきた。これもその一環だ。正直なところ、あまりパッとしない。ノンフィクション作家の視点ということで、祖父の疑獄事件に焦点を当てる部分は読めた。しかし、やはりノンフィクション作家が文芸を語ると陥る悪いパターンにはまっている。徹して三島の作品に対して評価をしなければいいものの、やっぱりそれをしてしまったかという気がする。作品と三島を事実と見てノンフィクションを描けばいいものの、三島作品にところどころ「ここがこの作品の重要なとこ」だとかいろいろ蘊蓄をたれられても困る。その意味で私はこの作品をあまり評価出来ない。猪瀬氏(作者)は後に川端や太宰を題材にした作品を発表していくが、その第一作として見る方がいいだろう!。少なくとも独立した「三島評伝」として読むよりは、連作の一つとして読むべきだ。猪瀬氏のファン、三島をかじりたい、三島熱烈ファンで三島関連は全部読みたい、の三種の読むだろう人がいるが、どの人にとっても不満足で、唯一三島熱烈ファンは「読んだ」という制覇に満足するだろう。私は上の三つのどれにも当てはまらず、困った。
ミカドの肖像 (小学館文庫)
猪瀬 直樹 小学館 小学館
*目からウロコ!*
今まで沢山の本を読んで来たつもりでしたが、、、
ハリポタとか、ダビンチコードとか、、、わたしは甘かった!!
この本を読んだ時に「目からウロコ」が落ちた気がしました!
そして「これぞ本だ!」とさえ思いました!
私の人生観は変わりました!
それ以来、猪瀬さんの本を読みあさっています!
帝研究本
帝を「ミカド」と表記し、ミカドに関連するすべての事柄について研究されています。800頁近いボリュームのある本で、悪く言えば「ミカド」についての卒業論文を読んでいるようです。しかしその内容と調査範囲は非常に広範囲で圧倒されます。
猪瀬氏の本の醍醐味はこの調査能力とヒアリング能力に尽きると思います。それらのエッセンスが万遍なく鏤められているのが本書です。個人的には西武線沿線に住んでいることもあり皇族と堤康次郎との関係を非常に興味を持って読み進めました。その他、この本を読めばミカドを中心として日本国民の習性や宗教観が明確に分かってきます。本書はミカドを媒介とした日本国研究書と言っても過言ではないと思います。
背景は理解できるが…。
西武王国の創始者、堤康次郎が、戦後のどさくさに便乗して、宮家の広大な土地をほとんど元金ゼロで手に入れていく過程は、人の生き方としてどうなのかを考えさせられる。
道路公団問題では頑張っておられるが
猪瀬氏が道路公団問題でテレビに出るようになってから、同氏の代表作を読んでおく必要を感じて手にした。
羊頭狗肉というか、タイトルと内容には大きな差がある。ミカドの実像なんか、どこにも出てこない。堤義明を中心とした西武王国の物語といったほうが事実に近い。
「皇居の周りを一周走っただけで天皇のことを書いた」という批判があるが、そんなものかもしれない。
もう一つの「日本史」
「正史」には載らないもう一つの「日本史」というべきでしょうか。「教科書が教えない日本史」なんかよりも、よっぽどスリリングで本質を突いています。
国を変える力―ニッポン再生を探る10人の提言
猪瀬 直樹 ダイヤモンド社 ダイヤモンド社
かなり大げさなタイトル
猪瀬氏の対談・トーク番組をまとめただけなので、「国を変える力」とタイトルにしたのは非常に不愉快である。
内容は悪くない。面白い。参考になる部分もある。しかしタイトルが悪い。内容と違う!
マガジン青春譜―川端康成と大宅壮一 (文春文庫)
猪瀬 直樹 文藝春秋 文藝春秋
疾走する文人たち
「心の王国」「ピカレスク」と文庫で読んできて、こちらの作品に至りました。
事実の小説化というのが、本当に上手い作家さんであるということを、
読み進めるたびに感じました。
本書のメインテーマ(?)は「川端康成と童貞」。
井上ひさし氏との対談でも出てきた川端の視線は、
長らく童貞を保つ者共通のものなのか?
そしてこのようなパーソナリティだからこそ、外国人にも
アピールする作品をつむぎ出せたのか?、との読後感を持ちました。
その他にも、当時の文壇を疾走する人々の活写が、とても面白い作品でした。
「地上」の島清は、以前漫画で読んだことがあり興味を持っていたので、
特に面白く読めました。
出版産業と雑誌メディアの発展史
十代半ばにしてすべての身寄りを失うという不幸な生い立ちさえも、冷徹な筆致でつづり、少年雑誌への投稿のネタにしてしまう、川端康成。父親の散財と兄の放蕩のために、若くして家業を一人で背負う羽目になりながらも、少年雑誌への輝かしい投稿歴を持つ、大宅壮一。この2人の半生記を「縦糸」に、そして、大正・昭和初期の出版産業と雑誌メディアの発展史を「横糸」とする視点がユニークで面白い。そして、実によく調べて書かれていることにも感心させられた。また、佐藤卓己『言論統制―情報官・鈴木庫三と教育の国防国家』(中公新書)のプロローグとして読むこともできるだろう。
非常に新鮮
ついに文庫本化。
文豪や大ジャーナリストもはじめからあるわけでないと言うことがよくわかる。
猪瀬直樹氏の真骨頂が発揮されている好著。
空気と戦争 (文春新書)
猪瀬 直樹 文藝春秋 文藝春秋
民主主義の欠陥
民主主義国家・日本が、民主主義の制度の中で、民主的に、戦争へと突入していった経過がわかる。
独裁国家とは違うが、民主主義国家というのも、最近のアメリカもそうだが、怖さがある。
空気に水を差すことの難しさ
本書から読み取れるのは、黒を白にしたと言うよりも、数字にほんの少しのさじ加減をした程度のことが重なり、明らかに負けるとわかっていた戦争に突き進んでしまったと言うことである。そのさじ加減をさせたのは「空気」で、さらに「空気」はさじ加減に対しての異議も許さなくなる。
これは現代にも続いている問題で、官僚のみならず、マスコミや学者が出してくるデータにも「空気」の力が働いていると思えるものが少なからずある。そして、空気が読めない人は非難されても賞賛されることがないが、実は「空気に水を差す」ことに比べたら、「空気を読む」ことの方がずっと簡単で楽なのことなのである。
私はずっと、軍国主義者によって戦争が引き起こされたと言う学校教育を受けてきたが、「空気」によって戦争が起こったことや「空気」の恐ろしさ、「空気」に水を差す方法などを教えている学校はあるのだろうか?
猪瀬 直樹・版「空気の傾向と対策」
先ず、本書に登場する当時の若人のはじき出した、石油需給予想や日米開戦シュミレーション結果の驚くほどの正確さに注目した。現在とは比べ物にならない情報量の少なさやインフラの貧弱さにも拘らず、レトロスペクティブな検証にも耐えうるものだからだ。
次に、本書に登場する当時の軍人や官僚が極めて冷静な言動をすることにも驚いた。アメリカ映画や日本のドラマで描かれる、戯画化(caricaturize)された軍人像とはあまりにも掛離れているからだ。実際の取材や資料で検証されているだけに、本書に登場する方が実像に近いのではないかと思われた。
そして、このように冷静で優秀な軍人・官僚を多く部下に持ちながら、当時の指導者・政治中枢はなぜ誤謬を犯してしまうのか。意思決定における、数字データの誤用や自己責任の放棄を日常的とする官僚主権に、猛威を振るう「空気」が作用したことに起因したとも読める。本書でも引用されている山本七平氏の「空気の研究」にもあるように、「空気」の呪縛から逃れることは極めて困難であるとの印象を強くした。戦後、民主主義と名を変えても先の意思決定の仕組みは、脈々と現在の官僚機構にも受け継がれていると思われるからだ。
結局、今後も「空気」に対する挑戦と研究の継続を著者にはお願いするとともに、「空気の読めない人」にならぬように気遣う昨今の若者に対しては、本書を推薦しようと考えている。
「KY」の怖さ
猪瀬さんらしい切り口としてみれば「お役所仕事(官僚主義)」は今も昔も変わらずの無責任体質が受け継がれてると言う感じでしょうか。
「戦前は軍国主義、暗い時代、北朝鮮のような軍部主導の独裁国家、
敗戦後はアメリカの指導により平和主義で明るい時代に変わった」
というのが、戦後の教育を受けた日本人の一般的なイメージだと思われます。
が、本書を読むと、戦争前後で歴史が切れているわけではなく、ひとつにつながっているんだということを改めて認識させられます。
理科系大学の学生向け講義と言うことで、あまり歴史に詳しくない方でもすんなり読める内容かと思います。
戦争についてちょっと調べてみたいと言う方にはちょうど良いかもしれません。
近頃「KY・・・空気読めない」という言葉が世間で言われていますが、空気を読んで周りに迎合していったことが、戦争突入への一因であったとも言えるのではないかと思います。
大きな声、一方的な意見、周りの空気に流されるのではなく、データを踏まえて論理的に考え、自分の判断で行動していくことが求められているのではないかと感じさせられました。
太平洋戦争の原因は何か
戦争と空気の主張は個人は空気に流されやすいので、自分の考えを正確なデータに基づいて組み立てなさいと理工科系学生に説いています。戦争の原因は空気にあると示唆しているのですが、どんな問題も複数の原因が重なって結果をつくるのが社会現象では一般的だと思います。本の中に指摘されている他の原因は
1.海軍が太平洋戦争の主役にもかかわらず、陸軍が開戦を主導してしまい、陸軍は自分が傷つかないので、無責任な主導をした。
2.石油の貯蔵量の把握が大雑把で、戦争を遂行できる量が無いにもかかわらず、あたかも十分であると言う統計が作成された
3.開戦をすることを前提に石油需給データーが改竄された
4.負けると予想したシュミレーションは机上の空論として隠された
5.憲法が責任の所在を明確にできない欠点があり、無責任な決定がなされた
6.ABCD包囲網でエネルギー資源が枯渇し、座して死を待つより戦いに賭けろ
7.アメリカが挑発し、開戦した戦いを受けただけだ
著者の言いたい点は、上記原因は、新たな戦争の原因にはならないであろうが、空気は今でも原因となりうるので注意が必要だと主張していると理解しました。
空気はムードともいわれ、社会的環境の性質であり、環境は環境の中にいるものにとっては、意識できないもので、現在という時間が離れた環境の下では、過去の環境を定義することができるが、当時は意識されていなかった。
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